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©STUDIORYO​

​Ryo Mizuhashi Design

しあわせのかたち 

会期:8月1日〜31日 会場:FAbULAS 8:00~23:00

目の前に展示されている作品たちを描く前に、

この展示に合わせて一つ物語を作りました。

そのワンシーンを目の前の展示作品で描いています。

物語をご覧ください。

しあわせの街(仮)原案:構成:編集:水橋亮

しあわせの街。

この街では不思議なことが起こります。

毎日夕方5時のチャイムと共に空いっぱいの風船がこの街を覆うのです。

365日、晴れの日も雨の日も。毎日。

でも風船は自然にできるものではありません。

どうしてこの街でこんなことが起きるのか?

この街の人が空に風船を飛ばすのです。

そしてこの空いっぱいの風船こそが

この街が「しあわせの街」と呼ばれる理由でした。

 

 

他と何ら変わらなかったこの街を「しあわせの街」に変えたのは、「幸せの風船」という一冊の本でした。

この街の人はこの本が大好きで、街の人みんなが持っています。

その本が完成するまでの幸せなお話。

グレバリー・トムはこの街で一番売れない小説家。

書いても書いても人気が出ず、逆に書けば書くほど人気が落ちて行きます。

グレバリーは言います。

「僕の小説はこの世界一幸せな話で、結末はいつも世界一のハッピーエンドなんだ!」

こう言う通り、グレバリーの小説はハッピーエンドしかありません。

街の大人たちにはひねくれものが多く、夢とか希望とか幸せとか愛とかそういう目に見えないものが大嫌い。

好きなものは、お金と休みと悪口。グレバリーの書くハッピーエンドなんて鼻で笑われておしまいです。

ハッピーエンドの作品はまるで人気が出ませんでした。

グレバリーがハッピーエンドばかり書くのには理由がありました。

お母さんの言葉です。

グレバリーのお母さんは体が弱く、あまり外に出ることができませんでした。

そんなお母さんの口癖は2つ。

「グレバリーが幸せならお母さんも幸せだわ

「幸せは連鎖するのよ」

お母さんが亡くなった今も、自分が幸せでいれば天国のお母さんも幸せになると信じて、ハッピーエンドを書き続けます。

そんなグレバリーには、熱狂的なファンがいました。

親友のラフィットです。

ラフィットは映画監督を夢見る元気いっぱいの少年。

癖のある笑い方で今日も登場です。

「シシシシシシシ!グレバリグレバリー!!今回の作品も完璧だった!!完璧なハッピーエンド!!さすがだよ!」

「はぁ…」

「ため息なんてついてどうした…俺なんかまずいこと言ったかい!!?」

「全然完璧じゃないんだよ…」

「え!?なんでなんで!いいじゃんこの最後の結婚シーン!!」

「それじゃ2人しか幸せになってないだろ…」

「ダメなの…?」

「ダメじゃないけど、なんか…こう…言葉にならないけど、こういうのじゃないなぁ〜って」

「ふーん、でも俺はこの話読んで結婚したくなった!」

「へへへなんだよそれ!もしかしてこの前の作品の主人公が映画監督だったから夢が映画監督に変わったとか言わないよな?」

「さすがグレバリー!正解!シシシシ!」

「そうなの!?それ作品が好きっていうか僕のことが好きなんでしょ?」

「さすがグレバリー!これまた正解!シシシシ!」

ラフィットの明るさはいつもグレバリーを救っていました。

 

 

そんな二人の日々は何の前触れもなく突然消えてしまいました。

 

 

 

この日の夜、ラフィットは交通事故でなくなりました。

 

 

 

 

 

 

 

それからグレバリーはペンを握らなくなり、小説を書かなくなりました。

そう簡単にラフィットの死を受け入れることができませんでした。

涙はとうに枯れ果て、外にも出ず、ご飯も食べず、ただボーッと窓の外の景色を眺める日々をつづけていました。

 

そんな日がしばらくつづいた頃。

窓から風船が上がっていくのが見えました。

グレバリーは昔から風船が大好きでした。

好きな理由はお母さんと風船にまつわる素敵な思い出があったからです。

その風船を見たグレバリーは、スイッチが入ったように立ち上がり、スタスタと歩き出しました。

気がつくとラフィットの家の前にいました。

家にはラフィットのガールフレンドココが住んでいます。

「やあグレバリー、よく来たわね」

「やあココ。」

「あなたが来るのを待っていたわ。来てくれてありがとう。」

思い出すラフィットの記憶と、変わらないココの優しさに

枯れていたはずの涙が溢れ出て来ました。

 

 

 

 

涙を拭い家に入るとグレバリーはびっくりしました。

数えきれない風船が部屋を埋め尽くしていたのです。

 

「ココ、この風船はなんだい?」

「すごいでしょこの数。これは全部ラフィットが膨らませたものよ」

 

「ラフィットが?」

 

「そうよ、幸せなことがあると、その度に風船を一個膨らませるの

 

「風船を?どうして?」

 

「風船は幸せに似てるからって言ってたわ。」

 

「幸せに似てる?」

 

「彼はそう言ってた。」

 

 

「ココ!すごい発見をした!

 幸せは目に見えないもので膨らむ。

 風船も目に見えないもので膨らむ。

 幸せにはいろんな種類がある。

 風船も色の数だけ種類がある。

 幸せは気付かぬうちに小さくなる。

 風船も知らぬ間に萎んで小さくなる。

 幸せは欲張って欲しがると、飛んで行っちゃう。

 風船も他のものを掴もうと手を開くと飛んでいく。

 ねぇココ!風船は幸せにすんごく似てない!?」

 

「そうね、フフフ」

 

「グレバリーは風船が好きらしいんだけど、幸せに似てることに気づいてるから好きなのかな!?」

 

「さぁ〜どうかしらね」

 

「きっとそうに違いない!グレバリーはハッピーエンドの小説家。幸せのスペシャリストだから絶対そうだ!!

 あ!!!!!

 いいこと思いついた!!!!ココ!!いいこと思いついたよ!!」

 

「あら、どんなこと?」

「俺毎日風船膨らませることにする!幸せを感じる度に一個、風船膨らませるんだ!」

「風船を?どうして?」

「そしたらさ!世界がどれだけ幸せで溢れているか気づけるよ!

 目に見えないものが目に見えるようになったらすごくない!?!シシシ!名案でしょ!どうかな!」

 

「フフフ、ステキね、家の中も鮮やかになるわ!」

ラフィットは家でもいつもこんな調子。

それをココが優しく包み込みます。

 

 

 

 

 

「へへへ、ラフィットらしいね、それで風船がこんなに…」

パンっ!!!!

家の中に大きな音が響きます。

風船の割れた音です。

 

グレバリーは言いました。

 

「この風船が目に見える風船なんだとしたら、割れちゃったら、その幸せは終わったってことだね。

 小さくなったり、飛んで行ったりしたら、もうすぐその幸せは終わってしまうって合図だね…

 幸せは必ず消えてしまうんだね

 …幸せは永遠じゃないってことだね…」

 

グレバリーの頭にはラフィットとの思い出が浮かんでいて、もう涙を堪えることなどできませんでした。

ココは涙を堪え答えます。

 

「私も同じことをラフィットに聞いたことがあるわ。」

 

 

 

 

 

「ねぇラフィット、最近よく風船が割れるの…萎んでしまってるのも増えて来たし…

この風船が目に見える幸せって思うと、幸せが終わってしまったようで、消えてしまったようで、ちょっと悲しい気持ちになるわ。」

 

「シシシシ!ココ、幸せは終わってないよ!

 萎んで小さくなるし、飛んでいくし、割れることもあるけど、実は割れたように見えて、小さくなって残ってるんだよ!」

 

「小さくなって?何にも見えないわよ…」

 

「シシシシシ!目に見えないくらい小さくなってるかもしれないけど、小さい幸せのタネに形を変えて残ってるんだ!」

 

「幸せのタネ?」

 

 

「そう!幸せを作るタネ。

 幸せは突然できるものじゃなくて、幸せのタネから生まれるの。

 タネを見つけられたら、幸せを作ることができるんだ。

 昨日の飛行機雲も一昨日の美味しいコーヒーも毎日僕が見つける幸せには幸せのタネがついていて、

 僕はそのタネを見つけて幸せを作ってるんだ。

 ココの言うとり、せっかく幸せになって、タネを風船にできても、小さくなったり、飛んで行ったり、割れたりしちゃう。

 でもそれは消えてもいないし、終わる合図でもないの!

 それは新しい幸せが生まれる合図!」

 

「新しい幸せ?」

 

「そう!小さくなって残った幸せのタネは、また次のどこかへ行って、飛行機雲になったり、美味しいコーヒーになったり、

 それぞれ形を変えて幸せになるのを待つんだ。

 そしてそのタネを見つけた誰かが、幸せを作る。

 そしてその幸せも、いつかまたタネになって、また誰かが見つけて、また幸せが生まれる。

 幸せは永遠にこの世界をぐるぐる回っているんだ!

 だから、小さくなっても、飛んで行っても、割れてしまっても、全く悲しいことじゃなくて、

 また違う新しい幸せが生まれる合図なの。

 だから小さな幸せのタネを見落としちゃいけないんだ。

 幸せが永遠になるように、回り回って繋がっていくように、見落とさず丁寧に。

 君の幸せが僕の幸せになるように、地球の裏側の人の幸せが、僕の幸せを作ってくれていて、

 僕の幸せもきっと誰かの幸せを作ってる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グレバリーは涙が止まりませんでした。

言葉にならなかった今ままでの気持ちを、本当に書きたかった幸せな物語を、ラフィットが教えてくれました。

「ココ、今日はありがとう。」

「こちらこそありがとうグレバリー。」

その日グレバリーは帰ってすぐにペンを取り書き始めました。

食べることも寝ることも忘れ、ひたすら書きました。

それからすぐにグレバリーの新作の小説が完成しました。

本のタイトルは「幸せの風船」

作者は「グレバリー・ラフィット」

この本はこの街のみんなに愛される作品になりました。

綺麗事が大嫌いな大人も、この綺麗事は信じなくちゃダメな気がしました。

出来上がった本を持って、グレバリーはラフィットの家に行きました。

ココは会って早々嬉しそうに言います。

 

「グレバリーとっても素敵な話だったわ。嬉しくて嬉しくて涙が止まらなかった。」

 

「ヘヘヘ。でもこの本はラフィットが居たから書けたんだ。

 ラフィットが教えてくれた「しあわせのかたち 」は誰もが信じなくちゃいけないものなんだ。

 幸せは永遠だから、これからもラフィットと生きていくよ。」

 

「フフフ、きっとラフィットが誰よりも喜んでいるわ。」

 

グレバリーはラフィットが亡くなって初めて心の底から笑えた気がしました。

 

 

 

 

「最後にとってもすごいこと教えてあげる。」

ココが突然言いました。

 

「すごいこと?」

 

「この本の最後の、

 それから毎日、空いっぱいの風船がこの街を覆い、風船がこの街をしあわせな街に変えました。

 実はラフィットも同じハッピーエンドを作ろうとしてたのよ。」

 

 

 

 

「ラフィット、風船がすごく増えちゃってもう歩くところがないわ。」

 

「近々全部空に飛ばすから大丈夫!」

 

「え!?!」

 

「グレバリーのものすごい新作がもうすぐできる予感がするんだ。

 そしたらお祝いにこの幸せ全部空に放つんだ!

 グレバリー風船大好きだから喜ぶに違いない!シシシシ!

 飛んで行った風船はそれぞれの場所で小さな幸せのタネになって、また新しい幸せが生まれていく!

 空にこの大量の風船を放てば、この街がしあわせで覆われたってこと!

 シシシシ!名案でしょ!!どうかなココ!

 まさに最高のハッピーエンドなんだ!!シシシシシ!!」

 

 

 

この日の夕方5時のチャイムと同時にラフィットの家から数えきれない風船が空に放たれました。

それは言葉にならないほど美しい景色で街の人はみな息をのんで眺めました。

 

その日から毎日夕方5時のチャイムとともにこの街の全ての家から風船が放たれています。

小さな幸せのタネができるように、幸せが溢れるように願いを込めて。

 

それから毎日、空いっぱいの風船がこの街を覆い、その風船がこの街をしあわせな街に変えました。

​おわり

最後まで読んでいただきありがとうございました。

この物語は、今後も試行錯誤を重ね、絵本、最終的にはアニメーション作品としての完成を目指しています。

まだ全ての完成ではないので、作品への思い、あとがきの様ななものは控えておきます。

​完成を楽しみにしていただければと思います。

​そしてもう一度目の前の作品をご覧ください。

作品のキャラクターの視線の先は上。

上には空があります。

時間は夕方5時。

それぞれの場所で、空を眺め、

風船を飛ばし、風船を見て

また明日小さな幸せがあることを願っています。

それぞれの

しあわせのかたち

を探して。

STUDIO RYO

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